特集 仙腸関節を科学する
緒言
村上 栄一
1
Eiichi MURAKAMI
1
1JCHO仙台病院
pp.677
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600060677
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仙腸関節の研究が始まって30年以上が経過しました.研究当初は“仙腸関節は動きがなく,痛みを出さない”というのが医学界の認識でした.
その中で,2009年に日本仙腸関節研究会が発足し,学術集会を重ねるごとに仙腸関節の痛みの存在を認知する人々は増えてきました.しかし一方で,科学的根拠に乏しく,思い込みに過ぎないと考える人々も少なくありませんでした.そのため,理解が広まるためには,仙腸関節の痛みが発生し得る科学的根拠を示すことが大きな課題であることを認識しました.JCHO仙台病院に2021年に国際仙腸関節研究所が開設されたのも,この課題解決の必要からでした.以来,脊椎動物の進化,解剖,バイオメカニクスなどの観点から仙腸関節の存在意義を追究してきました.

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