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2023年に日本ロボット外科学会学術集会に初参加した.演題のほとんどはDa Vinciを用いたロボット手術で,消化器外科,泌尿器科,婦人科,呼吸器外科関連が多かった.展示会場では,大型トラックの中にDa Vinciが展示されており,整形外科の学会ではみたことのない光景であった.人工関節置換術(股関節・膝関節)のシンポジウムで,ロボットを用いた人工膝関節置換術について発表したが,そのシンポジウム以外に整形外科の演題はなかった.すなわち,整形外科のロボット手術は,ロボット外科全体からみれば,非常に隅っこに追いやられている感を持った.日本ロボット外科学会の専門医取得のためのロボット手術の定義はda Vinci surgical systemやhinotoriTM surgical robot systemなどのマスタースレーブシステムの手術支援ロボットを用いた手術となっている.Da Vinci,hinotoriTMの保険収載は様々な分野で拡大しているが,人工関節のロボットは,最近ようやく股関節のみで認められ,膝関節ではいまだにナビゲーションと同じ扱いである.
ところが,本稿を書くにあたって,ChatGPTに「ロボットの活用は」と聞いてみると,「医学の分野をはじめ,さまざまな業界で急速に進んでいます.特に人工関節置換術をはじめとする外科手術において,ロボットは非常に重要な役割を果たしています.1.人工関節置換術,2.内視鏡手術,3.脳神経外科手術,4.整形外科手術(その他の分野),5.リハビリテーション,6.遠隔手術,7.教育と訓練,8.ロボットアシスタント」と回答された.驚くことに,1番が人工関節置換術であり,決して隅っこではなかった.今までは,他科の先生との会話の中で,整形外科もロボットを使っている話をすると,少し驚いた顔をされていたが,これからは整形外科のロボットがDa Vinci等の外科手術と対等またはより優れたものへ進化することを期待したい.
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