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はじめに
この連載企画をお読みになっている皆さんは,「バイオバンクの日」をご存じだろうか.実は,これは6月6日—まだできたばかりの新しい記念日である.おそらく,初めて知る方も多いのではないだろうか.2025年6月6日,日本全国の14のバイオバンクが参画する「バイオバンク・ネットワーク ジャパン」は,この日を「バイオバンクの日」として登録申請し,一般社団法人日本記念日協会より正式に認定を受けた1).この日付が選ばれた理由は,バイオバンクの小文字の“b”の形が数字の6に似ているからだという.全国の大学・医療機関・研究所でバイオバンクの運営・管理に携わる人々の多くは,自らも研究者や医師として,日々多忙な業務をこなしている.そうしたなかで,ヒト生体試料・情報を用いた研究の重要性を強く実感しているからこそ,バイオバンクの運営・管理に限られた時間を割いて,日本におけるバイオバンクの普及に力を注いできた.「バイオバンクの日」の制定は,そうしたバイオバンカーたちにとって,1つの大きなマイルストーンとなったのである.
さて,本連載企画で筆者が担当するのは,「ヒト生体試料を使った研究の背景や重要性」というテーマである.このテーマをいただいたとき,正直なところ少し難しさを感じた.というのも,筆者がバイオバンクの運営に携わるようになったのは,ここ5年ほどのことであり,それ以前から現在に至るまで,主にマウスなどのモデル生物を用いた分子生物学の基礎研究に取り組んできたからである.ただ,こうした経歴があるからこそ,ヒト生体試料や情報を活用した研究の重要性が,近年どのように変化してきたのかをより実感できているようにも思う.そこで本稿では,筆者自身の視点も交えながら,ヒト生体試料を用いた医学・生命科学研究の重要性が急速に高まっている現状について紹介したい.

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