増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
6章 これからがんゲノム医療を学ぶ人のために
ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程
田口 健一
1
1国立病院機構九州がんセンター病理診断科
キーワード:
ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程
,
ゲノム研究用病理組織検体取扱い規程
,
プレアナリシス
,
ホルマリン固定パラフィン包埋
,
FFPE
Keyword:
ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程
,
ゲノム研究用病理組織検体取扱い規程
,
プレアナリシス
,
ホルマリン固定パラフィン包埋
,
FFPE
pp.1194-1196
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101194
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背景と重要性
がんゲノム医療の実施において,コンパニオン診断薬および次世代シークエンサー(next generation sequencer:NGS)を用いたがん遺伝子パネル検査は必須の技術である.これらの検査では病理組織検体,細胞診検体,血液(血漿)検体の核酸・タンパクが解析対象となる.特にホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded:FFPE)組織検体が主要な検体として使用されているため,検体採取からFFPE処理まで適切な取り扱いが重要な課題となっている.
日本病理学会は2018年にゲノム検査の臨床導入に先立って,実証データに基づいた「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程2018年」1)(確定版.以下,診療用規程)を策定した.この診療用規程は薬事承認されたほぼ全ての遺伝子パネル検査システムの添付文書や関係学会のバイオマーカー検査ガイダンスで引用されており,がんゲノム医療指定要件の診療体制についても明記されている2).診療用規程はNGSなどの新規技術を用いたゲノム診断で利用可能な一定水準以上の品質確保を目的としており,“日常診療下で作製される病理検体が今後のゲノム診断に供される可能性のある全ての医療機関の病理医や病理技師,さらには検体採取に関わる臨床医を対象”とした実用的な書となるように作成されている.

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