FOCUS
ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程
立石 悠基
1,2
,
小田 義直
1,2
1九州大学大学院医学研究院形態機能病理学
2九州大学病院病理診断科・病理部
pp.575-577
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208017
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はじめに
日々の病理組織診断においては,生検や手術などにより採取・切除された組織のホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded:FFPE)検体からHE(hematoxylin-eosin)標本が作製され,形態診断が行われています.また,特殊染色や免疫染色を追加することでさらに詳しい診断が行われています.現在ではこれらの形態診断に加え,核酸や蛋白などの生体分子の検索を目的とした分子診断にも用いられています.さらには次世代シークエンシング(next-generation sequencing:NGS)法などの新規技術の臨床導入が一部開始され,今後診療を目的として作製される全てのFFPE検体に対し,これらの技術を用いたゲノム診断で利用可能な一定水準以上の品質が求められるようになっています.
精度の高い分子診断を行うためには,検体の品質管理は極めて重要です.多遺伝子解析の結果を保証しなければならないゲノム診断(遺伝子パネル検査)においては,その結果の質を保証するためには,これまで以上に,より厳格な検体の品質管理が求められます.
こうした状況を鑑みて,2016年に策定された「ゲノム研究用病理組織検体取扱い規程」を元に一般社団法人日本病理学会ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程策定ワーキンググループ(委員長:小田義直)は2018年に「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」を策定しました.本稿では,本規程よりFFPE検体の適切な作製・保管方法について紹介します.
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