総説
体外受精における卵巣子宮内膜症性囊胞の管理—ART前の腹腔鏡下卵巣囊胞切除術のメリットとデメリット
朱 丞華
1
,
原口 広史
1
,
中島 いくみ
1
,
藤井 達也
1
,
福田 晋也
1
,
桝谷 法生
1
,
松本 和紀
1
,
田中 智基
1
,
松本 玲央奈
1
1松本レディースIVFクリニック
pp.858-861
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698650790090858
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▶要旨
卵巣子宮内膜症性囊胞(Em cyst)は,月経困難症や性交痛などの症状に加え,不妊の原因としても注目されている.Em cystは卵巣機能の低下を招き,卵子や胚の質の低下を通じて生殖補助医療技術(ART)の成績に悪影響を及ぼす.ART前の腹腔鏡下卵巣囊胞切除術(LC)は,疼痛などの症状の改善,採卵時の囊胞破裂や骨盤内炎症性疾患のリスク低下などのメリットが期待されるが,手術による卵巣予備能の低下,早発卵巣不全のリスクや再発率の高さといったデメリットも指摘されている.ガイドラインでは,囊胞の大きさ,症状,患者年齢,AMH値などを総合的に評価し,個別化治療を推奨している.
本稿では,これらの知見を整理し,ART前のLCのメリットとデメリットを論じるとともに,最適な治療戦略の確立に向けた今後の課題を示す.

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