Japanese
English
特集 末梢神経損傷に対する再生医療の進歩
Bio 3D printerを用いた末梢神経再生
Peripheral nerve regeneration using Bio 3D printer
池口 良輔
1
,
青山 朋樹
2
,
野口 貴志
3
,
坂本 大地
3
,
岩井 輝修
3
,
藤田 一晃
3
,
宮本 哲也
3
,
宮崎 雄大
4
,
秋枝 静香
4
,
中山 功一
5
,
松田 秀一
3
Ryosuke Ikeguchi
1
,
Tomoki Aoyama
2
,
Takashi Noguchi
3
,
Daichi Sakamoto
3
,
Terunobu Iwai
3
,
Kazuaki Fujita
3
,
Tetsuya Miyamoto
3
,
Yudai Miyazaki
4
,
Shizuka Akieda
4
,
Koichi Nakayama
5
,
Shuichi Matsuda
3
1京都大学医学部附属病院リハビリテーション科
2京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
3京都大学大学院医学研究科整形外科
4株式会社サイフューズ
5佐賀大学医学部臓器再生医工学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyoto University Hospital
2Department of Physical Therapy, Human Health Sciences, Kyoto University Graduate School of Medicine
3Department of Orthopaedic Surgery, Kyoto University Graduate School of Medicine
4Cyfuse Biomedical K. K.
5Department of Regenerative Medicine and Biomedical Engineering, Faculty of Medicine, Saga University
キーワード:
末梢神経
,
神経移植
,
人工神経
,
三次元
,
神経導管
,
3D printer
Keyword:
末梢神経
,
神経移植
,
人工神経
,
三次元
,
神経導管
,
3D printer
pp.41-47
発行日 2025年1月10日
Published Date 2025/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530010041
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はじめに
末梢神経断裂を治療する際には,可能であれば直接神経縫合術を行う.神経欠損のために直接縫合が不可能な場合には,この欠損部を架橋するために自家神経移植が行われる.自家神経片には,末梢神経再生に不可欠なシュワン細胞,線維芽細胞,マクロファージ,細胞外マトリックスが含まれるため,自家神経移植は神経欠損を伴う末梢神経損傷を治療する際のゴールドスタンダードとして認識されている1).自家神経片は腓腹神経または内側前腕皮神経などから採取され,知覚脱失や神経断端の疼痛などの採取部位障害を引き起こす.これらの採取部位障害を防ぐために,神経欠損を架橋するための人工神経が開発されてきた.人工神経導管は,コラーゲン,ポリグリコール酸,ポリ乳酸,またはポリ乳酸グリコール酸などの吸収性人工材料でつくられている1).これらの人工神経は神経再生としては細胞外マトリックスのみの効果であり,シュワン細胞などの細胞要素は含まれていない.そのため,人工神経による神経再生は,自家神経片を使用した再生ほど良好ではない.人工神経にシュワン細胞や間葉系幹細胞などの細胞要素を付加する基礎研究が行われ,ある程度良好な神経再生が報告されている2-10).しかし,付加された細胞の生存率が低いため,この技術は臨床的に使用するのが困難と考えられる11,12).
筆者らは,末梢神経損傷部位に細胞を効果的に追加する方法を考え,細胞のみを使用して三次元組織を作成できるBio 3D printing技術に注目した.
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