連載 アーキテクチャー×マネジメント・134
サステナブルな病院はインテリアでつくる—聖マリアンナ医科大学病院の大規模リノベーション事例
梅澤 ひとみ
pp.170-175
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523770850030170
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昭和の高度成長期に建てられた病院は変化に対応するために増改築を繰り返してきたが,築30〜40年の建物は国の建築基準・耐震基準を満たすことが難しくなり解体,新病院に姿を変えた.数年前までの病院建設ラッシュはそんな時代の流れである.医療機器の進歩,それに伴う運用の変化は著しく,その時代のニーズに対応するには敷地の余裕と資金があれば建て替えや増築も1つの選択肢なのかもしれない.しかし「成長と変化」を考えたサステナブルな病院づくりには,それ以外にも方法がある.
海外を見ると,100年経っても使用されている病院の一例として近藤十郎が設計した国立台湾大学医学部附属病院がある(図1).地下道でつながった新棟が道路を挟んで向かい側にあるが旧館も現役である.またシンガポール総合病院は1926年の拡張時の建物と思われるが,中庭上部にガラス屋根を設け開放感のある明るいカフェにしたり(図2a),堅牢な大理石やタイルの内装はそのままにセキュリティを高めるゲートを設置するなど(図2b),時代に合わせた対応をしている.また50年以上前に建設されたカナダのマックマスター大学病院は柱間隔を長く取るロングスパン構造とISSフロア(設備専用の階)で改修しやすいようにフレキシビリティーを持たせてある.小児科外来のインテリアなど改修も行われたが(図3a),全体的には機能美を打ち出したシンプルデザインが貫かれ,今も古さを感じさせない(図3b).また,外観を変えないことで地域になじんだ街の景観も変わらず,人々に安心感を与えているのではないだろうか.

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