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特集 感染により生じるがんの制御と展望
Ⅱ.ウイルス感染によるがん
臨床的視点からみた子宮頸がんとHPV
Cervical cancer and HPV from a clinical perspective
川名 敬
1
Kawana Kei
1
1日本大学医学部産婦人科学系産婦人科学分野
キーワード:
ヒトパピローマウイルス
,
HPV
,
HPV発がんメカニズム
,
子宮頸がん
,
免疫療法
Keyword:
ヒトパピローマウイルス
,
HPV
,
HPV発がんメカニズム
,
子宮頸がん
,
免疫療法
pp.306-311
発行日 2026年8月15日
Published Date 2026/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310770040306
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Ⅰ.HPVの自然史と疫学
ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus;HPV)は,変異を起こすことはないが,HPVには200種類以上の“タイプgenomic type(遺伝子型とも言う)”があり,ウイルス遺伝子の相同性によって分類される1)。HPVは皮膚,粘膜の重層扁平上皮に感染し,その生活環は上皮内のみで完結する。傍基底細胞では,E6,E7が発現し細胞の増殖を促進させる。中間層では,E1,E2がウイルスゲノムの複製を促す。表層に近くなると,同時にウイルスキャプシドを形成する構造タンパク質L1,L2が発現し,L1/L2キャプシドがウイルスゲノムをパッケージングして新しいウイルス粒子が完成し,重層扁平上皮の剝離と共にウイルスは腟内に放出される。潜伏状態(潜伏感染)ではHPVはほとんど複製することなく数コピーで存在し,かつ感染細胞が分裂しても脱落しない。ごくわずかに発現するE2によってウイルスDNAは宿主細胞のゲノムと結合し,細胞分裂時に一緒に分裂細胞に移動する2)。このしくみによってHPVは粘膜基底層に存在し続けることができる。
全女性の70-80%は,一生に1度はHPVに曝露されているという3)。Hoらは,米国のある大学の女子学生の腟内洗浄液を3年間にわたって採取し,HPV-DNAをPCR法により検出する前向き研究を行った。HPV-DNAが陽転した群(3年間に608人中43%が陽転)のうち,31%が6か月以内にDNA陰性化,39%が6-12か月で陰性化,11%が12-18か月で陰性化し,結局陽転群の約90%が2年以内に陰性化している4)。

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