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・オートファジー
オートファジーは自食作用とも呼ばれ,細胞内で不要になった器官を消化させ再利用するメカニズムであり,2016年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した。そのメカニズムとしては,まず細胞内に隔離膜(phagophore)と呼ばれる平面状の二重膜が形成されることから始まる。その後,隔離膜が伸長し,二重膜で囲われた小胞,オートファゴソーム(autophagosome)が形成される。この段階ではまだタンパク質の分解は起こらない。その後,リソソーム(lysosome)がオートファゴソームの二重膜に融合してオートリソソーム(autolysosome)が形成され,リソソームに含まれていた酸性加水分解酵素により,オートリソソーム内のタンパク質が分解される。アミノ酸などの分解産物は細胞質へ戻され,新たなタンパク質合成や細胞機能維持の材料として再利用される。
メインのオートファジーであるマクロオートファジー(macroautophagy)の進行過程では,様々な分子機序が関与している。隔離膜の形成には,2種類の複合体,クラスⅢ PI3キナーゼ複合体(Beclin1,Atg14など)とセリン/スレオニン・キナーゼ複合体(Atg1/ULK1複合体)が関与している。その後のオートファゴソームの形成過程では,E1様酵素Atg7で媒介される2種類のユビキチン様修飾パスウェイ,Atg5-Atg12-Atg16LとLC3B(Atg8)が関与する。LC3BはAtg4により修飾を受けてLC3B-Ⅰとなり,その後Atg7およびAtg3を介し,最終的にphosphatidylethanolamine(PE)が結合してLC3B-Ⅱとなる。LC3B-Ⅱはオートファゴソームの内膜表面と外膜表面の両面に発現し,LC3はオートファジーの進行につれて発現量が増えるため,研究の際オートファジーのマーカーとして使用されている。オートファゴソームが完全に形成されると,Atg4の働きにより外膜上のLC3B-ⅡからPEが解離し,その後オートファゴソームとリソソームの二重膜が融合してオートリソソームが形成される。この形成には哺乳類ではLAMP-2やRab7が関与すると考えられている1)。

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