Japanese
English
特集 新組織学シリーズⅥ:心臓
Ⅲ.心臓疾患のメカニズム
心房細動の発生メカニズム
Mechanism of atrial fibrillation
古川 哲史
1
Furukawa Tetsushi
1
1東京科学大学
キーワード:
肺静脈
,
心筋袖
,
第2心臓予定領域
,
Pitx2c
,
GWAS
Keyword:
肺静脈
,
心筋袖
,
第2心臓予定領域
,
Pitx2c
,
GWAS
pp.618-621
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760060618
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心房細動とは,心房が1分間に350回以上(多くの場合は測定できないくらい高頻度)興奮する,心臓不整脈の一種である。持続性不整脈のなかでは最も頻度が多く,診断されている患者は約100万人,診断されていない潜在性心房細動(いわゆる“隠れ心房細動”)の患者も同程度いると考えられている。高齢者になるほど発症頻度が指数関数的に増え,高頻度に脳梗塞を合併し(心房細動のない人の5倍),日本の寝たきりの最も多い原因となることから,超高齢社会を迎えた日本では喫緊の社会問題である。
従来は,高血圧や心不全などでダメージを受けた心臓に発生する終末的な不整脈とのとられ方がされていた。ところが,臨床の観察研究で心房細動の発生が肺静脈と関係すること,ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study;GWAS)で同定された心房細動と圧倒的に関連の強い一塩基多型(single-nucleotide polymorphism;SNP)が発生に関係する可能性があることから,心房細動の病態発現が心臓の発生に関係する可能性が注目されている。

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