今月の表紙
先天網膜分離症
坂本 正明
1
,
町田 繁樹
1
,
蕪城 俊克
2
1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
2自治医科大学
pp.557
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790050557
- 販売していません
- 文献概要
症例は20歳,男性。両眼の原因不明の視力不良の精査のため当院へ紹介受診した。初診時の視力は右0.5(0.8×+1.75D()cyl−2.00D 100°),左0.3(0.6×+2.00D()cyl−2.50D 85°)であった。眼底検査では両眼の黄斑部に車軸様の皺襞(spoke-wheel pattern)がみられ,OCTでは中心窩に大きな囊胞様網膜分離,中間周辺部の内顆粒層および外顆粒層に囊胞様網膜分離が広がっていた。全視野網膜電図の混合応答(flash ERG)では,b波振幅の減弱した陰性型波形を記録した。これらの所見から先天網膜分離と診断した。治療として,ブリンゾラミド懸濁性点眼液(エイゾプト®)を処方し,黄斑浮腫が改善した。現在も加療・経過観察中である。
撮影にはCarl Zeiss社製PLEX Elite 9000を使用した。写真上段は網膜深層領域のslabで作成したen face OCT,下段は中心窩を通るOCTのB-scan画像である。B-scanで捉えられた囊胞様腔が,眼底後極部の全体に分布している様子をen face OCTによって撮像した。撮影時には患者に瞬目を控えることや固視について説明し,アーチファクトが発生しないよう注意した。
Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.