- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2025年度以降、後期高齢者の増加は緩やかとなるが、85歳以上の人口は、2040年に向けて、引き続き増加が見込まれており、医療と介護の複合ニーズを持つ者が一層多くなることが見込まれている。そのため、医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるように対応することが地域の体制として必要となる。よって、関係機関や医療、介護に係る職種が連携し、在宅医療・介護を一体的に提供できる体制の構築を推進することが重要である。
高齢者の口腔の管理についても同様であり、切れ目のないケアが提供できるよう、医療と介護で連携を進めていくことは重要である。現状の専門職の勤務状況をみてみると、歯科専門職である歯科医師や歯科衛生士の多くは、診療所に勤務しており、介護保険施設等での勤務は、全国で歯科医師は37人1)、歯科衛生士は1,258人2)である。よって大部分の介護現場には歯科専門職は配置されておらず、専門的な介入を要する場合は、歯科医療機関と連携することが必要となる。
高齢者の口腔管理の実態はどのようなものであろうか。要介護高齢者を対象とした過去の調査では、歯科医療や口腔の管理が必要である高齢者は64.3%であったが、そのうち、過去1年以内に歯科を受療していたのは、2.4%であったという結果がある(図1)3)。また、認知症の人の口腔ケアや歯科治療に関して、「課題がある」と回答した市区町村は46.7%であった。具体的には、自ら異常訴えができないこと等による歯科治療の必要性の把握の困難や、残っている歯が多いことによる口腔の状態の複雑化・多様化による口腔ケアの重要度の上昇を課題として回答した自治体もあった4)。
こうした現状を踏まえると、限られた人材で対象者の口腔の状態を確認し、日常的な口腔の管理を実施しつつ、必要な場合に歯科医療機関と連携する仕組みが必要であるといえる。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.