書評
胃がん検診のための胃X線検査マニュアル2025 改訂第3版
深尾 彰
1
1山形大
pp.1281
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530121281
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「今こそ」の胃がん検診マニュアル
この度日本消化器がん検診学会(以下,学会)から『胃がん検診のための胃X線検査マニュアル2025改訂第3版』が発刊された.2024年に『対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル2024改訂第2版』(南江堂)を発刊し,内視鏡検診のさらなる普及拡大に向けた今後の胃がん検診の方向性を示したばかりなのに,これまで2回の改訂を重ねてきたX線検診の「ガイドライン」をあえて「マニュアル」と変えてまで発刊した理由について即座に思いつかず,「今さら何を」というのが率直な感想だった.その疑念じみた感想は,「本マニュアルの位置づけと改訂のポイント」の項で解消された.学会の胃がん検診専門技師認定制度に協力体制を組んできたNPO法人日本消化器がん検診精度管理評価機構(以下,NPO精管構)が解散することになったため,学会とNPO精管構の間にあった標準的撮影法の若干の相違を解消・整理し,学会の基準に一本化するというのが本書の眼目と述べられている.
眼目を知った上で通読すると「ガイドライン」を「マニュアル」に変えた理由もよくわかる.撮影法の項では,撮影体位の順序を並べただけでなく,それぞれの撮影体位で狙うべき標的部位,さらにはその体位で注意すべき事項まで丁寧に説明している(補足説明の「ゲップをこらえるよう促す」には思わずニンマリ).この体位ごとの標的部位については画像を使って説明しているが,斜位をとったときの小彎線と前後壁の位置関係を表したイラストがよくできている.このイラストは宮城県対がん協会の職員が作成したものとのことで,評者も読影でちょっと迷ったときなどに頼りにしている.

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