臨床医からの質問に答える
LDLコレステロールの直接法と計算法(F式)が乖離するのはどのような場合ですか?
堀内 優奈
1
1順天堂大学医療科学部臨床検査学科
pp.1218-1220
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530111218
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LDLコレステロール
LDLコレステロール(LDL-C)は,リポタンパクの1つであるLDL中に含まれるコレステロールのことで,その濃度はLDLの量を反映すると考えられています.LDLコレステロール濃度は総コレステロール(TC)濃度,HDLコレステロール(HDL-C)濃度やトリグリセライド(TG)濃度などとともに,主に粥状動脈硬化性疾患のマーカーとして測定されています.粥状動脈硬化症の重要な危険因子の1つである脂質異常症の診断基準にも,高LDLコレステロール血症としてLDLコレステロール140mg/dL以上が含まれます(表1)1).また,動脈硬化性疾患の管理目標値としてもLDLコレステロール濃度が設定されており,LDLコレステロールの正確な測定は臨床上非常に重要です(表2)1).血清中のLDLコレステロール濃度を求める方法としては,直接法とFriedewald式(F式)から算出する計算法が用いられています.直接法は,界面活性剤などでLDL以外のリポタンパクを破壊,またはLDLのみを保護することで,LDLに含まれるコレステロールだけを測定しています.計算法では,
LDL-C=TC−HDL-C−TG/5
で表されるF式(いずれも単位はmg/dL)に当てはめ,LDLコレステロール濃度を算出します.

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