増大号 極める!呼吸機能検査 患者を診る力が成功のカギ
6章 肺拡散能検査の失敗例とその対応
V′AがVAより大きくなる
清水 康平
1
1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部
キーワード:
VC不良
,
FRC不良
,
妥当性不良
Keyword:
VC不良
,
FRC不良
,
妥当性不良
pp.266-267
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530020266
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原因分析
4種混合ガスにHeが入っており,Heの希釈率から肺胞換気量(alveolar ventilation:V′A)〔または残気量(residual volume:RV′)〕を求めることができる.人の肺循環は4〜6秒といわれており,それを考慮すれば,最大吸気開始から10秒の呼気止めでも,ある程度ガスの肺内での拡散は得られている.そのため,機能的残気量測定で求められるVA〔正確には全肺気量(total lung capacity:TLC)〕はV′Aとほぼ同等と考えられ,それぞれVAおよびV′Aで計算される肺拡散能(diffusing capacity of lung for carbon monoxide:DLCO)とD′LCOに大きな差はない.
しかし,機能的残気量(functional residual capacity:FRC)測定で長い時間がかかる肺内ガス不均等のある患者では拡散時間が短く,VAとV′Aに乖離が生じる(図).つまり,しっかりと拡散を待つFRCから求められたVAのほうが,10秒breath holdで求められるV′Aより大きくなる.そのため,VA>V′AであってもV′A>VAとはならないといわれている.
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2028年2月29日まで)。
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