増大号特集 深掘り! エッセンシャル漢方—1対1対応の一歩先へ
Column
注目される鍼灸
寺澤 佳洋
1
1口之津病院
pp.1922
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620111922
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漢方薬と並び,世界で広く知られている東洋医学の治療法の1つに鍼灸がある.海外では鍼灸は高く評価されており,欧米では補完代替医療の1つとして鍼灸の有用性が認識され,医療機関での導入が進んでいる.英国の国立医療技術評価機構(NICE)が定める慢性疼痛ガイドラインにおいて,management optionsとして,運動・薬物・心理療法とともに鍼治療(acupuncture)の記載がある1).また,米国では,家庭医療研修中に鍼灸を学ぶことでオピオイドの処方が少なくなったという報告もある2).
このような流れを受けてか,日本の医学教育モデル・コア・カリキュラムに“鍼灸”という文言を含めることが検討され始めているらしい.これは将来的に,医師が鍼灸の知識をもち,より包括的な医療を提供できるようになることを意味する.実際,すでに国内の医療機関,例えば大学病院などでは鍼灸治療を受けることができる.施術を行うのは鍼灸師ばかりではなく,東洋医学科などに所属する医師も含まれる.こうした環境は,患者が西洋医学と東洋医学を併用しながら治療を受けられる点で,非常に意義深いといえる.また,私の知る限りでも,開業医と鍼灸(師)とのかかわり方は,さまざまな形で増えてきている.例えば,医師自らが鍼灸治療を行うこともあれば,鍼灸院を経営したり,外部の鍼灸院と連携したりする事例もみられる.さらに,福島県立医科大学では,鍼灸師でもある鈴木雅雄教授の下で,大学院生が鍼灸に関連した研究を始めている.
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