Derm.2025
北海道から沖縄に来て感じること
柳 輝希
1
1琉球大学大学院医学研究科・皮膚科学講座
pp.203
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790050203
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2023年に北海道大学から琉球大学に異動した.生まれも育ちも大学も北海道で,4年間の米国留学以外は北海道で生活し仕事もしてきた.北海道出身者にとって沖縄は憧れの土地であり,実際に来てみると人々はとても優しく親切に助けてくれる.沖縄の皮膚疾患は,予想どおり北海道とは異なっていた.北海道では年に数例しか見ることのなかった化膿性汗腺炎や毛巣洞が多く,また基底細胞癌を含めて紫外線に関連する皮膚腫瘍にもよく出会う.大変なのは,治療法が乏しい血管肉腫で,患者数が明らかに多い.一方で,長く研究を行ってきた乳房外Paget病は大学病院でも非常に少ない.皮膚疾患の発生頻度の差は,沖縄人の遺伝的背景と紫外線曝露・感染症を含めた環境要因によるものと推察される.それを細かく突き詰めていくことが皮膚疾患の病態解明につながるものと感じている.
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