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Derm.2025
Psychodermatology
Psychodermatology
佐藤 絵美
1
1福岡大学医学部皮膚科学教室
pp.200
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790050200
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- Abstract 文献概要
最近,炎症性皮膚疾患,特にアトピー性皮膚炎の診療を行う中で,発達障害との関連に注目している.アトピー性皮膚炎では過去の複数の研究で発達障害の保有と皮疹の重症度に関連があることが報告されている.実際に自閉スペクトラム症の患児を診療すると感覚過敏のため外用基剤等に対するこだわりも強く,医療従事者側がいくら保護者や患児に熱心に外用療法の大切さについて説明しても治療に難渋するケースが多い.小児科の先生方とこのような困難なケースについて話し合うと,患児に発達障害がある場合,保護者も少なからずそのような傾向がみられることもあり,外用がうまくいかなくなるとのことであった.こうした場合,早期に生物学的製剤やJAK阻害薬を導入する選択肢も考えられる.
一方で,診断を受けずに成人した中高年患者への対応は特に課題と感じている.本邦では1980年代に発達障害の概念が導入されたが,就学前の障害のある子どもを対象とする児童発達支援は2012年の改正児童福祉法の施行まで多くはなく,診断される数も少なかった.診断や支援が十分ではなかったため,外用指導が難しい患者の中に未診断の発達障害を抱える人が存在する可能性がある.成人後の診断は精神科で行う必要があるが,予約取得まで時間を要することや患者の心理面からも診療のハードルが高くなる.
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