画像診断 40巻5号 (2020年3月)

特集 基礎から学ぶ肺癌診断

序説 遠藤 正浩
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『画像診断』2020年4月号の特集テーマとして,「基礎から学ぶ肺癌の画像診断」を企画させていただいた.肺癌診療は,分子標的薬から免疫チェック阻害薬の台頭で,日進月歩の勢いで大きく変化してきている.診療にとって重要な基本的事項は,肺結節の質的診断をはじめとする肺病変の診断を確実に行うことと,TNM分類に基づいて肺癌の病期を正確に診断することである.肺癌のTNM分類に関しては2017年1月に,『肺癌取扱い規約,第8版』が刊行され,それに基づいて診断が行われている.主な変更点は,T因子が細分化されたこと,微少浸潤性腺癌を新たにT1miとしたこと,腫瘍の最大径は浸潤性増殖を示す部分と考え,thin section CTによるすりガラス成分と充実成分の最大径の測定から,後者を浸潤性増殖部とし,充実性成分径としたことである.一方で,ほとんどの施設でマルチスライスCT/ボリュームデータで収集した撮影が行われ,最近では,より高分解能の高精細CTの登場により,ますます空間分解能の高い画像提供が可能となり,被ばく線量を軽減してもノイズの少ない画像再構成も可能となってきている.さらに,画像処理技術も進歩し,各種のワークステーションを用いて,多断面のみならず3D画像や臓器内のsegmen tationなども容易にできるようになり,肺癌の診断・治療にますます寄与できる画像提供がCTで可能となっている.

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肺区域は,孤立性肺結節の画像診断において重要な既存構造である.肺区域と結節の関係は,結節の良悪性や推定される組織型の鑑別に欠かせない情報を提供する.肺区域は区域気管支起始部を頂点とし,肺臓側胸膜面を底にした不正円錐体を形成し,気管支は区域を決定する構造である.肺動脈・気管支には肺静脈が接触・交差する.区域間隔壁は区域間静脈を含む凹凸のある線状構造として,時に認識しうる.

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肺腺癌は非小細胞肺癌の中で最も多い組織型の肺野型肺癌である.したがって,肺腺癌のCT所見を十分に理解しておくことは重要である.同じ部分充実型肺癌の中にも様々なタイプのものが存在し,正確な診断のためには,thin section画像を用いた形態学的評価や浸潤巣の評価が重要と考えられる.

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充実型肺結節の良悪性鑑別には,病変の大きさ・形態,病変の辺縁の性状,病変の存在部位,病変内部の吸収値,病変周囲の変化などが有用である.肺癌の画像所見は組織型によってオーバーラップするので,画像による組織型推定は容易ではない.perifissural nodulesは画像のみでほぼ確実に良性と診断できる.

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粘液性腺癌の多くは浸潤性腺癌の特殊型として分類される浸潤性粘液性腺癌であり,画像所見の特徴が他の浸潤性腺癌とは異なる.浸潤性粘液性腺癌は再発率が高いことが知られている.より早期での診断のためには,粘液性腺癌の画像の特徴を理解し,非粘液性腺癌や他疾患との鑑別を念頭に置いて画像所見の解釈を行うことが必要である.

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肺門部肺癌は肺門部の気管支に発生する肺癌であり,隣接する肺動静脈への浸潤を把握するために,原則として造影CTが必要である.これらの脈管浸潤の広がりによる手術適応の可否をみるために,3次元での肺門解剖の理解が求められ,多方向のthin section CTによる診断が基本である.

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肺癌の臨床病期分類(TNM分類)は主に画像診断に基づいて行われる.2017年に改訂されたTNM分類では,T因子(サイズ)の診断が複雑になった.病理学的浸潤径に相当する充実成分径の計測はthinsection CTで行うのが基本であるが,3次元CTやPET/CTを利用することで精度の向上が期待できる.

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都合により,掲載できません.

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分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬の登場により,近年の肺癌内科治療の進歩は目覚ましく,治療方針決定の過程は複雑になっている.治療の選択に当たり重要なのは,病期診断,組織型,ドライバー遺伝子変異/ 転座の有無,PD-L1の発現状況の他,年齢,Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG) performance status(PS),間質性肺炎などの併存症である.

すとらびすむす

時は流れる 藤永 康成
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「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり今を春べと 咲くやこの花」「難波津の歌(なにわづのうた)」と呼ばれるこの歌は,仁徳天皇の即位の祝いに王わに仁博士が梅の花に添えて贈ったとされ,『古今和歌集』の仮名序で紹介されている.現代語訳すると,「難波津に花が咲いたよ.冬の間はこもっていたが,いよいよ春だと梅の花が知らせてくれたよ」という意味だろうか.徳の高い仁徳天皇の治世が末永く続くようにとの願いを込めた歌だとされている.

『画像診断』40周年に寄せて

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いわゆる2025年問題が目前に迫っている.この年に団塊の世代が75歳を迎え,国民の5人に1人が75歳以上になる.退任3年目の私はわずかにこれに及ばないが,ほぼ同じ世代である.今後,働き手不足により社会が支えられなくなるのではないかという危機感がなんとなく蔓延している.対策としては,働き手としての女性や外国人の参画の拡大,AIによる労働代行・業務改善であるが,労働年齢の前倒しと後倒しも検討の余地がある.

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40歳台,男性.約1年前に頭痛のため近医を受診した.頭部MRIで頭蓋内に異常はなかったが,右眼窩内に腫瘤を認めたため経過観察されていた.増大傾向があるため,手術目的で当院に入院した.右眼球突出を認めたが,複視や眼球運動障害はみられなかった.

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Q1呼吸器カンファレンスの際に,長い経過で腫瘍径が変化しなかったり,わずかに縮小を示していたりといった症例で,腫瘍なのか炎症性変化なのか議論になることが時々あります.その点について,様々なモダリティや組織診断を用いて診断に至りますが,画像所見からのアプローチで掘り下げられるようでしたらぜひ教えてください.

Q2結節様構造(scab-like sign)と空洞内の菌球が形状によっては迷ってしまうと思いますが,実際にはどのように鑑別しているのでしょうか? また,鑑別が難しい場合もあるのでしょうか?

Picked-up Knowledge from Foreign Journals

卵巣嚢胞性腫瘤の内容液 高濱 潤子
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・嚢胞性卵巣腫瘍の内容液について,ヘモグロビンと総蛋白濃度のMRIでの分析

・APTイメージングを用いた良性嚢胞性病変の鑑別:有用性に関する初期経験

・クロミフェン投与によるPCOS患者の卵胞内容液の代謝物変化について

CASE OF THE MONTH

Case of April 大木 望 , 上谷 雅孝
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10歳台,男児.主訴:左膝痛.現病歴:約2か月前から軽度の左膝痛あり.1か月前から疼痛の増強と発熱が認められた.血液生化学検査,血算に異常なし.

解答応募用紙は,https://gakken-mesh.jp/html/pc/pdf/case-web.pdf からダウンロードできます.

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80歳台,女性.病歴:1週間ほど前に右乳房にしこりを自覚したため受診した.既往歴:特記事項なし.マンモグラフィ,超音波像,MRIを示す.考えられる診断は何か.

General Radiology診断演習

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生来健康であったが,3か月前に臀部〜下肢の知覚低下と両足底の浮腫紅斑が出現した.今回,発熱・腰背部痛が出現したため,精査加療目的に入院となった.心電図,心エコー検査にて心機能異常なし.その他の情報は,現時点では伏せておく.この臨床情報と図1の画像のみから,診断できるだろうか.

Refresher Course

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n-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)は接着性の液体塞栓物質(瞬間接着剤)で,血管塞栓に幅広く活用できる一方,慣れないと扱いが難しく,使い始めるのも躊躇される.本稿では,NBCAを実際に使用するに当たって必要な事柄について,実際の手順やテクニックを含め,簡潔に示す.

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画像診断
40巻5号 (2020年3月)
電子版ISSN:2432-1281 印刷版ISSN:0285-0524 学研メディカル秀潤社

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