日本内視鏡外科学会雑誌 15巻3号 (2010年6月発行)

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原著

小腸病変に対する腹腔鏡補助下手術と術前ダブルバルーン小腸内視鏡検査の有用性野田　英児 , 前田　清 , 井上　透 , 仲田　文造 , 大平　雅一 , 石川　哲郎 , 西口　幸雄 , 平川　弘聖 15巻3号 , 2010年6月 , pp.303-306

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◆要旨：当科における小腸疾患に対する腹腔鏡補助下手術の検討を行った．【対象および方法】当科で腹腔鏡補助下手術を施行した15症例．腹腔鏡下操作は原則として2ポートで行った．【結果】14例は術前にダブルバルーン小腸内視鏡検査が施行され病変の確認と点墨がなされた．平均手術時間は88.4分（51～136分）で，平均出血量は29ml（0～120ml），平均創長は4.0cm（3～5cm）であった．手術関連合併症は認めなかった．【考察】小腸疾患に対する腹腔鏡補助下手術は，術前のダブルバルーン小腸内視鏡検査により，病変部の術中同定が容易となった．また，悪性疾患においても腹腔内の詳細な検索が可能であった．

症例報告

腹腔鏡下に切除した大網由来Castleman's diseaseの1例弓場　孝郁 , 藤村　昌樹 , 佐藤　功 , 千野　佳秀 , 沖田　充司 , 高原　秀典 15巻3号 , 2010年6月 , pp.307-312

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◆要旨：患者は56歳，男性．人間ドックの腹部超音波検査にて胃壁外の腫瘤を指摘され，精査のため当院に紹介された．画像診断にて胃原発のgastrointestinal stromal tumor（以下，GIST）を強く疑い手術を施行した．腫瘤は胃前庭部大彎近傍にあり，右胃大網動脈を栄養血管とする径3.5cm大の白色，表面平滑な腫瘤であった．腫瘤は胃，横行結腸とは間隙があることから，大網原発の腫瘍と考えられた．腹腔鏡下に腫瘍を切除した．病理検査報告書ではCastleman's disease（mixed type）であった．本症例のような良性疾患である腫瘍に対し低侵襲である腹腔鏡下手術は有用であると考えられた．

膵囊胞性腫瘍に対して短胃動静脈温存による腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除術を施行した1例蔵原　弘 , 新地　洋之 , 又木　雄弘 , 上野　真一 , 夏越　祥次 , 高尾　尊身 15巻3号 , 2010年6月 , pp.313-319

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◆要旨：患者は27歳の女性で，膵体部に径25mm大の多房性囊胞性病変を認め，膵粘液性囊胞性腫瘍と診断した．腫瘍は脾静脈に密接していたため，脾動静脈合併切除し，短胃動静脈温存による腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除術の方針とした．脾動静脈は根部近傍にて切離し，膵切離には自動縫合器を使用した．短胃動静脈を慎重に温存し，脾臓の温存は可能であった．切除標本の最終病理診断は膵漿液性囊胞性腫瘍のmacrocystic typeであった．術後は膵液瘻，脾梗塞，脾膿瘍等の合併症を認めず良好な経過であった．短胃動静脈温存による腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除術は縮小手術の1つの選択肢として有用と考えられた．

腹腔鏡下に切除した後腹膜平滑筋腫の1例木内　誠 , 柴田　近 , 鹿郷　昌之 , 西條　文人 , 佐々木　巖 15巻3号 , 2010年6月 , pp.321-326

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◆要旨：患者は47歳，女性．婦人科検診で骨盤内腫瘍を指摘されて当院に紹介となった．腹部CT上骨盤内右側に40mm程度に軽度造影される境界明瞭な腫瘤を認め，腹部MRIでは右卵巣が腫瘤とは別に描出されており，大腸内視鏡検査，小腸造影検査ではともに所見を認めなかった．以上の所見より後腹膜腫瘍または腸間膜原発の消化管間葉系腫瘍を疑い腹腔鏡下腫瘍切除術を施行した．病理組織学的所見ではα-SMA陽性，デスミン陽性であり平滑筋腫と診断された．後腹膜腫瘍は悪性腫瘍の頻度が高く，術前診断は困難な場合が多い．腹腔鏡下手術は後腹膜腫瘍の診断および治療に有用なものと思われた．

腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術後に温存した左結腸動脈により腸閉塞をきたした1例佃　和憲 , 池田　英二 , 高木　章司 , 平井　隆二 15巻3号 , 2010年6月 , pp.327-331

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◆要旨：患者は52歳，男性．直腸癌に対して腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術を施行した際，左結腸動脈は温存しながらD3郭清し，下行結腸で人工肛門を造設した．術後27日目に腸閉塞となり，保存的な加療では改善しないために開腹手術を行った．空腸の一部が左結腸動脈と下行結腸の間に嵌入し閉塞しており，左結腸動脈はすでに拍動がなかったため，切離し腸閉塞を解除した．

　自験例は当初，超低位前方切除を念頭に左結腸動脈を温存していたが，そのまま前腹壁に挙上し人工肛門を造設したため，内ヘルニアが起こりやすい状態になったと考えられた．腹腔鏡下手術において左結腸動脈を温存する術式で，人工肛門を造設する場合には注意する必要があると考えた．

胸腔鏡下生検で診断した縦隔に広範囲に進展する血管腫の1例片岡　和彦 , 藤原　俊哉 , 松浦　求樹 15巻3号 , 2010年6月 , pp.333-337

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◆要旨：きわめて稀な，縦隔血管腫の1例を報告する．患者は56歳の男性で，CTにて縦隔に広範に進展する軟部組織濃度の病変が認められた．CT上，両側の胸水と心囊水も認められた．ダイナミックCTでは，漸増型の造影効果を認めた．MRIでは，T1強調画像で低信号を，T2強調画像で低～高信号を呈していた．胸腔鏡下に，病変の生検と胸水，心囊水の吸引を施行した．胸水，心囊水の細胞診に悪性所見を認めなかった．病変の病理組織学的診断は，海綿状成分と毛細血管性成分の混在した血管腫であった．術後1年で，特に症状を認めず，CT上では病変に変化を認めていない．縦隔血管腫の術前診断はむずかしいが，鑑別診断に含める必要があると考えられる．

腹腔鏡下手術が有用であった小児外傷性小腸穿孔の1例藤本　明久 , 内田　茂樹 , 一ノ瀬　庸 , 篠置　哲 , 後藤　研三 15巻3号 , 2010年6月 , pp.339-342

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◆要旨：患者は6歳，男児．9歳の姉に腹部を蹴られ腹痛と嘔吐を主訴として来院した．腹膜刺激症状は明らかでなかったが，腹部に圧痛があり下腹部には軽度の抵抗を認めた．腹部CTにて腹腔内遊離ガス像は認めなかったが小腸の肥厚と腹水貯留を認めた．入院のうえ経過観察したが状態の改善がなく，腹腔内精査のために腹腔鏡下手術を施行した．腹腔内には中等量の血性腹水の貯留と小腸に5mm大の穿孔を認めた．ポート挿入口を切開延長し，体外操作にて穿孔部を縫合閉鎖し術後は順調に経過した．循環動態の安定した腹部鈍的外傷では小児においても腹腔鏡下手術は有用であると思われた．

傍下行結腸窩ヘルニアによるイレウスに対し腹腔鏡下手術が有用であった1例新名　一郎 , 長沼　志興 , 千々岩　一男 15巻3号 , 2010年6月 , pp.343-348

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◆要旨：傍下行結腸窩ヘルニアの本邦報告は自験例を含めて7例と稀である．今回，傍下行結腸窩ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を含め報告する．患者は70歳，男性．下部消化管内視鏡検査後より腹痛，嘔吐を認め，小腸イレウスと診断され，精査加療目的で入院となった．CT，イレウス管造影で内ヘルニアを疑った．イレウス管挿入後も症状の改善を認めず，腹腔鏡下手術を行った．下行結腸の外側に径2cmのヘルニア門を認め，そこに小腸が約15cm嵌頓しており，傍下行結腸窩ヘルニアによるイレウスと診断した．嵌頓している小腸を整復し，ヘルニア門は縫合閉鎖した．術後再発は認めず，腹腔鏡下手術は鑑別診断と治療に有用であった．

腹腔鏡下天蓋切除術を施行したCA19-9産生性脾囊胞の1例草間　啓 , 宗像　康博 , 袖山　治嗣 , 町田　泰一 , 西尾　秋人 , 中田　伸司 15巻3号 , 2010年6月 , pp.349-354

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◆要旨：患者は27歳の女性．左側腹部痛と食物つかえ感を主訴に近医を受診し，精査加療目的にて当院に紹介となった．腹部CT検査で，脾上極に12×10cm大の単房性囊胞を認めた．術前CA19-9値は766U/mlと高値であったが，画像検査で悪性所見はなく，手術を施行した．手術は3本のポートで行い，S.A.N.D.バルーンカテーテルを用いて囊胞内容を吸引後，囊胞壁を脾臓実質近傍で切離した．囊胞内容液のCA19-9値は328,000U/mlと高値を示し，囊胞壁は石灰化を伴う線維性結合織から成り，仮性囊胞と診断された．脾囊胞に対する腹腔鏡下天蓋切除術は低侵襲であり，脾機能温存の点からも有用な術式と考えられた．

CPT-11投与後に発生した門脈ガス血症に対して腹腔鏡所見をもとに保存的治療が可能と判断した1例薮崎　紀充 , 石山　聡治 , 江坂　和大 , 末永　雅也 , 鳥居　康二 15巻3号 , 2010年6月 , pp.355-359

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◆要旨：患者は66歳，男性．胃癌術後の肝転移に対してCPT-11を投与中，腹痛があり入院した．CTで門脈ガスを認めたが，腹部所見は軽度で循環動態も落ち着いていた．化学療法中のハイリスク症例に対して保存的治療の可能性を追求するため，診断・治療の目的に腹腔鏡下手術を施行した．術中所見では20cmほどの小腸に限局した浮腫を認めるのみで壊死はなかったため，保存的治療が可能と判断した．門脈ガス血症は腸管壊死に起因することが多く，一般的には致死的な疾患であるが，近年は保存的治療で改善した症例報告も散見される．しかし，現在の検査基準のみでは緊急手術か保存的治療かの判断に迷うことも多く，本症例のように稀ではあるが，CPT-11投与による腸炎が門脈ガス血症の起因になったと考えられるハイリスク症例では，腹腔鏡下に腸管の状態を観察することも1つの選択肢になりうると考えられた．

術前診断され腹腔鏡下に切除した原発性小腸癌3例の手術症例の検討田中　千恵 , 藤原　道隆 , 中山　吾郎 , 小池　聖彦 , 小寺　泰弘 , 中尾　昭公 15巻3号 , 2010年6月 , pp.361-365

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◆要旨：原発性小腸癌は従来早期に発見されることが少なく予後不良の疾患とされてきたが，小腸内視鏡検査の普及に伴い，転移のない原発性小腸癌が術前診断されるようになってきた．当科における3例を報告する．2例は便潜血の精査で，もう1例は家族性大腸腺腫症手術後のサーベイランス検査で病変が指摘された．3例とも腹腔鏡下小腸切除を行った．はじめに，術中操作による腫瘍播種予防のため，腫瘍をガーゼで覆い手術を行った．リンパ節郭清は，Treitz靭帯病変以外の2例はできるだけ大腸の中間リンパ節に相当する程度の中枢側まで行った．小腸癌に対する腹腔鏡下手術は小開腹法と比べ低侵襲で，十分な腹腔内観察や速やかな病変部位の同定が可能である．

腹腔鏡下に診断し修復しえた子宮全摘術後の腟断端離開による腹腔内遊離ガス像を呈した急性腹症の1例伊東　大輔 , 水野　礼 , 森　友彦 , 古元　克好 , 小切　匡史 15巻3号 , 2010年6月 , pp.367-371

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◆要旨：子宮全摘術後の腟断端離開による腹腔内遊離ガス像を伴った急性腹症に対して腹腔鏡下に診断，穿孔部を修復した1例を経験した．患者は43歳，女性．4か月前，子宮筋腫に対して腹式子宮全摘術を施行されていた．心窩部痛，右下腹部痛，腹部膨満感を主訴に近医を受診した．腹部単純X線検査で腹腔内遊離ガス像を認め，当院を紹介され受診した．上部消化管内視鏡検査で異常所見は認められなかったが，消化管穿孔を疑い腹腔鏡下手術を行った．子宮全摘術後の腟断端に離開部を認め，腹腔鏡下に縫合閉鎖した．子宮全摘術後腟断端離開による気腹症はきわめて稀で，術前診断は困難であった．腹腔鏡下手術により容易に診断可能であり，急性腹症に対する腹腔鏡下手術の有用性が示唆された．

腹腔鏡下に修復した傍十二指腸ヘルニアの1例高木　剛 , 中瀬　有遠 , 福本　兼久 , 宮垣　拓也 15巻3号 , 2010年6月 , pp.373-378

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◆要旨：患者は60歳，女性．嘔気・嘔吐を主訴に受診した．外来で精査を行ったが診断がつかず，経過観察とした．初診から約3週間後に嘔吐と左上腹部痛も出現したために再受診となった．その際の腹部CT検査で初めて傍十二指腸ヘルニアの診断を得た．治療は腹腔鏡下に嵌入した空腸を腹腔内に還納した後，ヘルニア門を縫合閉鎖し修復した．術後6日目に軽快，退院した．腹腔鏡下手術の普及により，内ヘルニアの修復術に対する腹腔鏡による手術治療の報告例が近年増加している．傍十二指腸ヘルニアに対しても腹腔鏡下修復術は安全かつ有用な術式であると考えられた．

小腸内視鏡で下血部位を同定し腹腔鏡補助下に切除した空腸inflammatory fibroid polypの1例藤本　博人 , 磯部　秀樹 , 野村　尚 , 水谷　雅臣 , 蜂谷　修 , 木村　理 15巻3号 , 2010年6月 , pp.379-382

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◆要旨：患者は25歳，男性．2006年9月下旬，上腹部痛を自覚し，下血による意識消失で前医に搬送された．上部・下部消化管内視鏡検査，CT，シンチグラフィを受けたが出血源は不明であった．10月下旬に再度下血を認め，当院に転院となった．小腸内視鏡検査にてトライツ靭帯から約1mの空腸に粘膜下腫瘍を認めたため，腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した．術後の病理組織検査にて空腸inflammatory fibroid polyp（以下，IFP）と診断された．小腸IFPは比較的稀な疾患であり，その多くは腸重積を生じ，腸閉塞の診断で開腹手術されている．今回，筆者らは下血を主訴に発症し，術前の小腸内視鏡検査で存在診断でき，腹腔鏡補助下に切除しえた小腸IFPの1例を経験したので報告する．

異時性大腸癌に対して2回目の腹腔鏡下手術を施行しえた1例嵯峨　邦裕 , 矢田　一宏 , 増田　崇 , 松本　敏文 , 池田　陽一 , 北野　正剛 15巻3号 , 2010年6月 , pp.383-386

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◆要旨：患者は82歳の女性．2年前にS状結腸癌に対して腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した．その時の術前に，下行結腸腺腫に対して分割にて内視鏡的粘膜切除術（endoscopic mucosal resection；以下，EMR）を施行した．その後，定期的な大腸内視鏡検査にて同部に隆起性病変を認め，再度EMRを行ったところ，腺腫内癌が検出された．癌遺残が認められたため，腹腔鏡補助下下行結腸切除術を施行した．腹腔内観察では前回手術時のドレーン留置部に索状の癒着を認めるのみであり，安全に腹腔鏡補助下下行結腸切除術を施行しえた．腹腔鏡下手術は癒着が少なく，異時性大腸癌に対しても再度の腹腔鏡下手術を行うことは可能であると考えられた．

消化管を穿孔したにもかかわらず無症状で経過し腹腔鏡下に摘出可能であった金属繊維誤飲の1例末廣　剛敏 15巻3号 , 2010年6月 , pp.387-390

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◆要旨：患者は57歳，男性．飲食店経営．金網洗浄用ワイヤーブラシの金属繊維を誤飲し，無症状であったが翌日受診した．腹部単純X線検査で金属繊維を確認したが，上部消化管検査では確認できなかったため経過観察とした．2週間後の腹部単純X線，CT，全腸管造影検査で金属繊維は腸管外の腹腔内と判断し腹腔鏡下手術を施行した．腹腔内には腹水や出血，癒着はなく，金属繊維は大網内に確認でき周囲臓器の損傷もみられなかったため，摘出のみで手術を終了した．術後経過は良好であった．金属繊維の誤飲を確認でき，無症状で腸管外に穿孔した経過を確認できることは非常に稀であると思われ報告する．

手術手技

腹腔鏡下胃手術における簡便で安全な肝挙上法渡部　雅人 , 末原　伸泰 , 古賀　健一郎 , 田邊　麗子 , 斎村　道代 , 西原　一善 15巻3号 , 2010年6月 , pp.391-394

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◆要旨：腹腔鏡下胃手術において良好な術野を得るために肝を挙上する方法がいくつか考案され，ペンローズドレーンを用いた3点支持による肝挙上法を導入し改良した．幅6mm，長さ12～16cmのペンローズドレーンの両端に3-0ナイロン糸を刺通結紮する．腹腔内に挿入して，ペンローズドレーン中央よりやや左側を針付の2-0編糸で食道裂孔部直上の横隔膜腱中心に縫合・結紮する．肝内側区域を挙上するようにペンローズドレーン右側の支持糸を腹腔外に引き出す．左側の支持糸は肝外側区域縁頭側に引き出すことにより肝を損傷することなく肝左葉が腹側に挙上され，手術を通して良好な術野が得られる．

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欧文目次 15巻3号 , 2010年6月 , pp.291

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「日本内視鏡外科学会」理事会議事録 15巻3号 , 2010年6月 , pp.293-294

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平成21年度日本内視鏡外科学会技術認定制度消化器・一般外科領域　審査結果 15巻3号 , 2010年6月 , pp.295-299

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平成21年度日本内視鏡外科学会技術認定制度小児外科領域　審査結果 15巻3号 , 2010年6月 , pp.300

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平成21年度技術認定（泌尿器腹腔鏡）合格者リスト 15巻3号 , 2010年6月 , pp.301

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平成21年度技術認定（産科婦人科領域）合格者・更新者リスト 15巻3号 , 2010年6月 , pp.302

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「日本内視鏡外科学会」入会申込書記入要領 15巻3号 , 2010年6月 , pp.395-397

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EVENT NEWS 15巻3号 , 2010年6月 , pp.398-403

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「日本内視鏡外科学会雑誌」投稿規定 15巻3号 , 2010年6月 , pp.404-405

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著作権譲渡同意書ならびに誓約書 15巻3号 , 2010年6月 , pp.406

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編集後記近藤　幸尋 15巻3号 , 2010年6月 , pp.408

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　今年の春は桜が咲いたと思えば雪が散らつくといった三寒四温とは程遠い気温のジェットコースターのような特異な春でありましたが，このような厳しい気象状態は現在の医療を取り囲む環境に類似していると思われます．つまり臨床において高度な内視鏡外科手術の花を咲かせた翌日には大血管よりの出血により寒い思いをするという経験も御有りではないでしょうか．医療界にとってはQOLを重視して手術をはじめ行われているわけですが，これは患者サイドから見てのQOLであります．QOL保存の法則ではありませんが，一方のQOLを保つために手術手技をはじめ多くの努力がなされていることと思います．

　本号では「小腸病変に対する腹腔鏡補助下手術と術前ダブルバルーン小腸内視鏡検査の有用性」や手術手技として「腹腔鏡下胃手術における簡便で安全な肝挙上法」などが掲載されており，日頃の先生方の診療および手術の参考になればと思います．内視鏡下手術に日頃追われる先生方にとって，技術向上はもとより安全な手技および手術のお役に立てるべく，内視鏡外科学会雑誌を読んでよかったと思われる雑誌に成長させていただきたいと思います．ですから原著はもとより手術手技に関して先生方からのご玉稿をお待ちしておりますので奮ってご投稿をお願いいたします．

基本情報

日本内視鏡外科学会雑誌
15巻3号
(2010年6月発行)

電子版ISSN：2186-6643 印刷版ISSN：1344-6703 日本内視鏡外科学会

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