投稿論文 原著論文
若手セラピストの心理療法における失敗 拒絶感情とその防衛
村井 亮介
1
,
岩壁 茂
1旭川少年鑑別所
キーワード:
怒り
,
回避学習
,
学習性無力感
,
恐怖
,
拒絶(心理学)
,
攻撃性
,
精神療法
,
医療従事者-患者関係
,
防衛機制
,
インタビュー
,
治療の失敗
,
グラウンデッド・セオリー・アプローチ
,
心理職
,
嫌悪感
Keyword:
Treatment Failure
,
Defense Mechanisms
,
Disgust
,
Fear
,
Aggression
,
Avoidance Learning
,
Professional-Patient Relations
,
Psychotherapy
,
Interviews as Topic
,
Helplessness, Learned
,
Anger
,
Rejection, Psychology
,
Grounded Theory
pp.81-90
発行日 2023年1月10日
Published Date 2023/1/10
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本研究は,日本の臨床心理士の最も多い層の一つをなす若手の女性セラピストの心理療法における失敗に関連する内的体験に焦点を当て,若手セラピストから見た失敗のプロセスを明らかにすることを目的とした。そして,臨床経験が10年に満たない4名の女性セラピストから2事例ずつ募る形で得られた計8事例のインタビューデータを事例比較法とグラウンデッドセオリー法を組み合わせた方法を用いて分析した。その結果,失敗のプロセスは,{拒絶感情},{防衛反応},{行き詰まり}という連続する3つの段階からなることが示された。つまり,クライエントに対する【嫌悪】,【恐怖】,【怒り】という{拒絶感情}が起点となり,【回避】または【攻撃】という行動,【自己正当化】という認知を含む一連の{防衛反応}が引き起こされ,クライエントとの【接触遮断】または【パワーゲーム】が展開され,いずれも【無力感】を伴う{行き詰まり}の状態に至ることが見いだされた。

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