特集 心不全パンデミック時代の新しい診療知を求めて
治療 進歩著しい心不全治療の現在
心不全薬物療法の進化─Fantastic Fourとは何か?─
松島 将士
1
1九州大学病院循環器内科
キーワード:
▶心不全治療は近年大きく進歩し,特にHFrEFに対して多くの予後改善薬が登場した.
,
▶β遮断薬・ARNI・MRA・SGLT2阻害薬からなるFantastic FourがHFrEFの標準治療となっている.
,
▶β遮断薬は交感神経活性を抑制し,左室リモデリングの改善と生存率向上に寄与する基盤治療薬である.
,
▶ARNIは神経体液性因子を多面的に調節し,従来のRAS阻害薬よりも心血管死や心不全入院を有意に減少させる.
,
▶SGLT2阻害薬は糖尿病の有無にかかわらず予後を改善し,HFpEFにおいても主に心不全入院の抑制効果が示されている.
,
▶MRAはアルドステロン作用を抑制することで線維化や体液貯留を抑え,長期予後の改善に寄与する.
,
▶血圧や腎機能に応じて導入順を調整し,4剤を低用量でも早期にそろえることが予後改善につながる.
,
▶マバカムテンやベルイシグアトなども登場し,病態に応じたより個別化された心不全治療が可能となってきている.
Keyword:
▶心不全治療は近年大きく進歩し,特にHFrEFに対して多くの予後改善薬が登場した.
,
▶β遮断薬・ARNI・MRA・SGLT2阻害薬からなるFantastic FourがHFrEFの標準治療となっている.
,
▶β遮断薬は交感神経活性を抑制し,左室リモデリングの改善と生存率向上に寄与する基盤治療薬である.
,
▶ARNIは神経体液性因子を多面的に調節し,従来のRAS阻害薬よりも心血管死や心不全入院を有意に減少させる.
,
▶SGLT2阻害薬は糖尿病の有無にかかわらず予後を改善し,HFpEFにおいても主に心不全入院の抑制効果が示されている.
,
▶MRAはアルドステロン作用を抑制することで線維化や体液貯留を抑え,長期予後の改善に寄与する.
,
▶血圧や腎機能に応じて導入順を調整し,4剤を低用量でも早期にそろえることが予後改善につながる.
,
▶マバカムテンやベルイシグアトなども登場し,病態に応じたより個別化された心不全治療が可能となってきている.
pp.546-550
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.04_020
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
近年,心不全治療は大きな転換期を迎えている.特に左室駆出率が低下した心不全heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF)においては,従来のアンジオテンシン変換酵素angiotensin converting enzyme(ACE)阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬mineralocorticoid receptor antagonist(MRA)に加え,多面的に心不全病態に介入する新規薬剤が登場した.「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」では,HFrEFの主要薬物治療として「Fantastic Four」と呼ばれる4つの薬剤,すなわちアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI,サクビトリル/バルサルタン),β遮断薬,MRA,SGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害薬の併用が推奨され標準的治療となっている.本稿では,このFantastic Fourの中でも特に近年のエビデンスが豊富なARNI,SGLT2阻害薬,MRAを中心に,その作用機序,主要臨床試験,治療戦略への影響を解説する.また,閉塞性肥大型心筋症hypertrophic obstructive cardiomyopathy(HOCM)の治療薬であるマバカムテンを含む心不全治療の今後の展望について述べる.

Copyright © 2026 Bunkodo Co.,Ltd. All Rights Reserved.

