国際学会Report
第49回 欧州小児心臓病学会(AEPC 2015)Young Investigator's Award受賞記
篠原 務
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1名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学分野病院助教
pp.37-38
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0055.07.03_0037-0038
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「30代で,先祖からの遺伝子の賞味期限が切れてしまう」1)その言葉を目にした途端,強烈な焦燥感に駆られると同時に,本当の人生はここからが始まりなのだと,再び自分が生まれ変わったかのような気持ちが芽生えたことを今でも覚えている。ちょうど30歳の時であった。小児科専門医を取得し終え,それまで思い描いていた目標が達成されたその年,この先どのような人生にしていくのかというビジョンをもたぬまま,時間の流れに身を任せそうになっていた私を救ってくれたのは冒頭の言葉であった。「10代や20代は先祖からの遺伝子の影響を受けて先天的な能力で生きていけるが,30代になるとそれらの賞味期限は切れ,後天的な努力の蓄積の差が一気に顕在化する。」1)というのだ。無能と自覚し,必死に勉強してここまできたつもりだが,実はこの時点までの能力は先祖に保障されていたらしい。ここから先が,本当の自分の道であり,全てはこれからの自分の努力にかかっている。これからが再スタートだと思い,その年,大学院入学を決意した。
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