総説
神経とドライアイ
土至田 宏
1
1順天堂大学医学部附属静岡病院眼科先任准教授
pp.22-26
発行日 2016年10月31日
Published Date 2016/10/31
DOI https://doi.org/10.34449/J0042.11.02_0022-0026
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すべての臓器には役割があり,それらのほとんどは脳を中心とした指令系統上位からの指示に従って各々の機能を果たしている。その働きは意識下になくとも交感神経と副交感神経とのバランスからなる自律神経系によって制御されているものが大半を占め,涙腺とても例外ではない。涙腺に存在する神経は古くから三叉神経,交感神経,副交感神経が知られていたが1)-3)近年,涙腺と神経との関係が再び注目を浴びている。その背景には,ドライアイによる眼不快感の機序解明に関する進展をはじめ,再生医療技術を応用した涙腺再生4)5)や,持続的な刺激を発信する超小型神経刺激装置を用いた涙液分泌増多治療の試み6)7)などの,画期的な治療法までもが編み出されようとしているためと捉えることができる。本稿では,解剖学的な見地からの基礎的知識の整理と,神経の重要性に主眼を置いた新しいドライアイ治療法の概略と将来性について解説する。
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