ドライアイリサーチアワード受賞論文解説
ドライアイリサーチアワード第10回受賞者決定(Vol.2)
渡辺 仁
1
1関西ろうさい病院眼科部長
pp.50-51
発行日 2015年10月31日
Published Date 2015/10/31
DOI https://doi.org/10.34449/J0042.10.02_0050-0051
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谷口先生の受賞論文は,いたってsimpleである。といっても,単純という意味ではない。実に明快で,とてもわかりやすいストーリーとなっているという意味である。それ故,じっくりと読むと,とてもわかりやすい。ただ,あえて難を言うとすれば,本研究はレニン・アンジオテンシン系(RAS)といった眼科になじみのあまりない系であり,その受容体が2つあったりと,ややとっつきにくいという点ぐらいなものである。慢性移植片対宿主病(cGVHD)でドライアイが生じることは良く知られているが,細かな発症機序まではあまり知られていない。涙腺の線維化がその中心なのだが,本論文では,そのメカニズムを明快に説明され,RASが関与していることはとても印象深い。谷口先生は,そうしたcGVHDにおける涙腺の線維化は組織RASと深い関わり合いがあることを明らかにし,さらに今回アンジオテンシンⅡタイプⅠ受容体阻害薬により,涙腺の線維化が抑制されることを明らかにしている。
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