連載
グラビア・目で見るホルモンと行動 ―下垂体後葉ホルモンとストレス反応―
西村 和朗
1
,
上田 陽一
2
1産業医科大学医学部第1生理学/産業医科大学医学部産科婦人科学
2産業医科大学医学部第1生理学教授
pp.4-9
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.28.01_0004-0009
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下垂体後葉(PP)ホルモンであるオキシトシン(OXT)およびバソプレシン(AVP)は,視床下部室傍核(PVN)および視索上核(SON)に局在する大細胞性神経分泌ニューロンで産生され,PPに投射した軸索終末より循環血中に分泌される1)(図1)。OXTは,分娩の促進および射乳反射を惹起することがよく知られているが,PVNの小細胞性神経分泌ニューロンの細胞体の軸索が延髄および脊髄に投射して疼痛抑制などに関与する。また,OXTはPVNおよびSONから脳内にも分泌され,信頼感,愛情や子育て行動などに深く関与し,ストレス緩和にも働いている2)。AVPの末梢作用は,腎臓での水の再吸収(抗利尿作用)がよく知られている一方,PVNの小細胞性神経分泌ニューロンの細胞体で産生されたAVPは,コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)とともに正中隆起外層(eME)に投射した軸索終末より下垂体門脈に分泌される。AVPとCRHはともに下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌を促進し,ストレス応答である視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸を活性化させる作用がある3)。
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