特集 子宮内膜症・子宮腺筋症の新たな展開
特集にあたって
大須賀 穣
1
1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学教授
pp.12-12
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.27.01_0012-0012
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女性の社会進出が進んだ現代において,生殖年齢において多くの女性の健康を損ない,かつ社会経済学的にも大きな問題をもたらしている疾患の代表が子宮内膜症・子宮腺筋症である。古くより子宮内膜症・子宮腺筋症は謎の疾患といわれ,発症機序,病態などにおいて未解明の部分が多く,決定的な治療法はいまだ確立していない。しかしながら,近年の多くの発見と新たな治療薬の登場,治療法の改良により新たな局面を迎えていることは確かである。病因・病態において以前より内分泌学的異常,免疫学的異常,遺伝子・エピジェネティクス異常が指摘されていたが,関連の基礎的な学問の発展のおかげで,子宮内膜症における病因・病態が掘り下げられ,より深い理解が進んでいる。また,子宮内膜症・子宮腺筋症の臨床的問題としてはこれまで疼痛と不妊症が中心的課題であったが,悪性腫瘍,心血管障害,周産期異常,稀少部位子宮内膜症などが子宮内膜症・子宮腺筋症に関する新たな問題として浮上している。
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