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バリキサ®ドライシロップ(バルガンシクロビル塩酸塩)
森岡 一朗
1
1日本大学医学部小児科学系小児科学分野
pp.515-519
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000758
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先天性サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染のわが国の発生頻度は1/300出生と非常に高い.先天性CMV感染児のうち,約2~3割(1/1,000出生)は出生時から何らかの症状をもつ「症候性先天性CMV感染症」として出生し,その約8~9割は,難聴,精神運動発達遅延,てんかんなどの神経学的後遺症を高率に残す.症候性先天性CMV感染症児に対し,生後早期からバルガンシクロビル塩酸塩で治療をすることによって聴力と神経学的予後の改善や進展を抑制できる可能性がある.残りの約7~8割は,出生時に症状のない無症候性先天性CMV感染として出生する.しかし,出生時に症状がなくても遅発性に難聴,言語発達遅延,自閉スペクトラム症や注意欠如多動症などの神経発達症を発症することがある(表1)1,2).
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