特集 心筋炎・心膜炎,感染性心内膜炎を診る,治す
心膜疾患を診る,治す
心膜疾患の成因と症候
川波 由佳
1
,
紹慶 咲千子
2
,
田邊 一明
1
1島根大学医学部附属病院循環器内科
2島根大学医学部附属病院病理部
キーワード:
心膜
,
急性心膜炎
,
収縮性心膜炎
,
心膜液貯留
,
心タンポナーデ
Keyword:
心膜
,
急性心膜炎
,
収縮性心膜炎
,
心膜液貯留
,
心タンポナーデ
pp.1335-1340
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000435
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Headline
1 臓側心膜と壁側心膜に囲まれた空間は心膜腔とよばれ,通常10~60mL程度の心膜液が存在する.
2 心膜液貯留の原因は多岐にわたり,それぞれ治療方法が異なるため,鑑別が重要である.
3 急性心膜炎の原因としては特発性が最も多いが,その多くはウイルス性と考えられている.近年は医原性の頻度が高くなってきている.
4 収縮性心膜炎の原因として過去には結核性心膜炎が多かったが,現在は特発性,開心術後,化学療法・放射線治療後の心膜炎によるものが増えている.説明のつかない右心不全症状(頸静脈圧上昇,浮腫,胸水,肝機能障害など)を認める場合は,収縮性心膜炎も疑う必要がある.
5 心タンポナーデとは心膜腔内に液体が貯留し,心膜腔内の圧が上昇することで心腔が圧迫され,心臓への血液流入が障害されることによる生命の危機的な状態である.
Copyright © 2023, SHINDAN TO CHIRYO SHA,Inc. all rights reserved.