研究・報告
幼児の視機能―COVID-19パンデミックの影響―
松井 千洋
1
,
石井 雅子
2
1福井大学医学部附属病院眼科
2新潟医療福祉大学大学院健康科学専攻
キーワード:
新型コロナウイルス感染症パンデミック
,
デジタルデバイス
,
近視化
,
視覚健診屈折度数
Keyword:
新型コロナウイルス感染症パンデミック
,
デジタルデバイス
,
近視化
,
視覚健診屈折度数
pp.546-551
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.34433/ch.0000000932
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目的:新型コロナウイルス感染症パンデミック前後における幼児のデジタルデバイス利用時間と視力および屈折との関連を検討する。
対象と方法:新潟市内のAこども園において,2017年度入園(I期)および2019年度入園(II期)の幼児,各26名を対象とした。保護者にデジタルデバイス利用時間に関する問診票を家庭に配布し,視覚健診ではSpot™ Vision Screenerによる屈折検査と段階視力検査を実施した。I期およびII期の子どものデバイスの利用時間を2時間未満と2時間以上に分け,屈折のパラメータと視力を比較した。
結果:デジタルデバイス利用が2時間以上の割合は,I期では年少23.1%,年長42.3%,II期では年少38.5%,年長65.4%で増加傾向にあった。視力はI期で年長時に有意な向上がみられたが,II期では差がなかった。屈折度数(球面・乱視)については,I期とII期ともに年少時から年長時への有意な変化は認められなかった。デジタルデバイスの利用が1日2時間以上では,I期およびII期ともに,球面度数および円柱度数は年少クラスから年長クラスにかけて有意差はなかった。
結論:デジタルデバイス利用時間の増加が視力や屈折異常に直接影響を与えるとは結論づけられなかったが,デバイスの長時間利用による視覚機能への潜在的な影響を継続的に観察する必要性がある。

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