特集 子育て支援に活かそう! アタッチメント
企画の言葉
宮本 信也
1,2
1筑波総合クリニック
2筑波大学名誉教授
pp.829-829
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.34433/ch.0000000674
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アタッチメント(愛着)は,子どもの心の発達を考えるうえでとても重要です。アタッチメントが適切に形成されることで,子どもは安心して親から離れ,いろいろな事柄に取り組んでいきます。困ったらいつでも親が自分を助けてくれる,守ってもらえると信じているからこその行動です。一方で,アタッチメントの形成が阻害されると,子どもたちにはさまざまな問題が生じてくることが少なくありません。生じる問題は,行動問題で示されることが多く,外在化行動問題か内在化行動問題のどちらかの状態,あるいは,しばしば両方の状態となります。発達障害に対する関心が高まり,特殊教育から特別支援教育となった2000年代後半から,問題行動を示す子どもたちがいると,「発達障害ではないか?」という目で見られるようになりました。ところが,最近では,「この子は本当に発達障害なのだろうか?」あるいは「この子は発達障害だけなのだろうか?」という問いかけが増えてきているように感じています。発達障害の枠組みだけでは理解が困難な子どもたちに対しては,アタッチメント形成の問題の視点から見つめると理解ができることがあります。アタッチメントについて適切に理解することは,子どもの問題行動の解決だけでなく,広く子育て支援にも有用です。
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