特集 DCD(発達性協調運動障害)とは?~「不器用」な子どもの理解と支援~
企画の言葉
中井 昭夫
1,2,3
1武庫川女子大学教育研究所
2武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科
3子ども発達科学研究センター
pp.325-325
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.34433/ch.0000000123
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「ぶきっちょ」「運動音痴」などといわれ,悩んでいる子どもやその保護者は少なくありません。「協調」は脳の機能のひとつであり,その発達の極端な問題がDCD(発達性協調運動障害)に該当します。DCDは1980年代には世界的に定義され,その頻度も約5~8%と,決して新しくも珍しくもない神経発達障害です。しかし,日本では,子育て・保育・教育の現場はもとより,医療・療育,福祉・行政においても,いまだにその認知度は非常に低く,怠け・やる気の問題,努力・練習不足などと誤解され,嘲笑やいじめ,精神論・根性論による叱責や不合理な反復練習など不適切な対応につながってしまっています。DCDは子どもの社会性の発達,算数をはじめとする学習や情緒,自尊感情にも深く関係し,さらに,将来の精神障害や生活習慣病,心血管障害につながることがわかっていることから,早期の気づきと適切な支援が必要です。
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