特集 今おさえておきたい呼吸器診療
おさえておきたい呼吸器疾患の診断・治療 間質性肺炎の初期診療
漆山 博和
1
1東京大学医学部附属病院 呼吸器内科
キーワード:
聴診
,
病歴聴取
,
プライマリヘルスケア
,
段階的患者管理
,
肺炎-間質性
Keyword:
Auscultation
,
Lung Diseases, Interstitial
,
Medical History Taking
,
Progressive Patient Care
,
Primary Health Care
pp.1423-1426
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00697.2023029163
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
<Headline>1 間質性肺炎は肺の間質を主体に,炎症や線維化を引き起こす疾患群の総称である.間質性肺炎にはその原因を特定できるものと,原因が不明のもの(特発性間質性肺炎)がある.2 間質性肺炎と思われる症例に遭遇した際は,すぐに特発性と判断しないことが肝要であり,原因となる疾患,職業歴,内服歴などを十分に検討する.3 慢性咳嗽や労作時息切れを訴える患者の身体診察では,両側背部の肺底部付近で聴取される捻髪音(fine crackles)の有無を必ず確認する.4 進行が緩徐である場合,数ヵ月の経過では胸部X線上明らかな変化として認められないこともある.1年以上前の胸部X線や初診時などと比較して,網状影が増加していないか,肺野が小さくなっていないかなどを定期的に確認するように心がける.5 無症状であっても感染などを契機に急激な呼吸不全の進行(急性増悪)を起こし得ること,失われた呼吸機能を改善することは難しいことから,進行が緩徐であっても定期的に受診するように患者教育を行う.
Copyright© 2022 SHINDAN TO CHIRYO SHA,Inc. all rights reserved.