特集 基本理論に基づいた小児漢方診療
疾患別漢方治療 うつ病・パーソナリティ障害
森 蘭子
1
1森こどもクリニック
キーワード:
うつ病
,
漢方薬
,
パーソナリティ障害
Keyword:
Drugs, Chinese Herbal
,
Personality Disorders
,
Depressive Disorder
pp.50-58
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00642.2022057081
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▼小児でうつの主訴は少なく、身体症状や不定愁訴にうつが潜在しないか見極め、表に現れている症状に着目し処方を選択する。六君子湯、補中益気湯、小建中湯、柴胡桂枝湯、甘麦大棗湯等を用いる。▼パーソナリティ障害の確定診断は小児では限定的であるが、その予備軍は存在する。処方選択に際して(1)不安、(2)緊張、(3)怒りの要素を考慮し、妄想性、境界性、回避性、依存性、強迫性での不安や緊張、反社会性、境界性の怒りを目標にする。(1)不安には甘麦大棗湯、柴胡または桂枝加竜骨牡蛎湯など、(2)緊張には四逆散、柴朴湯、大柴胡湯など、(3)怒りには抑肝散(加陳皮半夏)等を用いる。▼服薬困難な場合は、食事などに混ぜてもよい。漢方薬でうつやパーソナリティ障害を治癒させることは困難だが、身体症状や不定愁訴を緩和させ、本人の心身の安定をはかる。
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