特集 こんなときどうする?他科とのコミュニケーションガイド
(第2章)内分泌内科 甲状腺疾患と妊娠
吉原 愛
1
1伊藤病院 内科
キーワード:
甲状腺機能亢進症
,
甲状腺機能低下症
,
Graves病
,
鑑別診断
,
妊娠合併症
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Hypothyroidism
,
Hyperthyroidism
,
Graves Disease
,
Pregnancy Complications
pp.121-125
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.34433/J00525.2022140441
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<産婦人科医におさえてほしいポイント>甲状腺機能亢進症では、hCG高値に伴って甲状腺ホルモンが一過性に非常に高くなる妊娠一過性甲状腺機能亢進症とBasedow病とを鑑別する必要がある。Basedow病合併妊娠の場合、妊娠中期以降は抗甲状腺薬、無機ヨウ素が胎盤を通過し胎児の甲状腺機能を抑制する可能性と、母体のBasedow病特有の甲状腺刺激抗体が胎盤を通過して胎児の甲状腺を刺激する可能性があり、どちらが強く作用するかによって胎児は甲状腺機能低下症にも甲状腺機能亢進症にもなり得る。児の甲状腺機能異常を示唆する徴候の有無につき、内分泌内科医と連携が必要である。妊娠時に甲状腺機能低下症と診断された場合には速やかにT4製剤での補充療法を開始する。甲状腺ホルモンは胎児の発育に必須であり、妊娠中は甲状腺ホルモンの需要が増加する。不足した状態が長く続くと特に中枢神経系、精神運動発達に影響を及ぼしうる。併用薬剤としては鉄剤との同時内服でT4製剤の吸収に影響するため、内服の間隔を空けて別々に内服することが望ましい。
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