Japanese
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特集 進歩する循環器低侵襲治療
ウルフ–オオツカ法による心房細動治療への挑戦
A novel surgical treatment for atrial fibrillation
――The Wolf-Otsuka method
伊東 博史
1
Hiroshi ITO
1
1山口県済生会下関総合病院心臓血管外科
キーワード:
ウルフ–オオツカ(WO)法
,
心房細動
,
胸腔鏡下左心耳閉鎖術
,
胸腔鏡下アブレーション
Keyword:
ウルフ–オオツカ(WO)法
,
心房細動
,
胸腔鏡下左心耳閉鎖術
,
胸腔鏡下アブレーション
pp.909-914
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292110909
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心房細動は脳塞栓を発症し,生命を脅かす病気として認識され,その人口は年齢とともに増加傾向にあり,日本人の100万人以上が罹患しているといわれている.心原性脳梗塞の予防としては抗凝固療法が一般的で,現在では直接経口抗凝固薬(DOAC)内服が広く用いられているが,高齢者では重篤な出血を引き起こすという問題もある.抗凝固療法を中止するために経皮的左心耳閉鎖デバイスも広まってきてはいるが,左心耳形態による不適応の問題や抗血小板薬の継続が必要であるという問題もある.ウルフ–オオツカ(WO)法(胸腔鏡下左心耳閉鎖術,胸腔鏡下アブレーション)は,非弁膜症性心房細動に対する抗凝固療法離脱目的(抗血小板薬も不要)で始められた手技である.遠隔期の成績は極めて良好な外科的左心耳閉鎖術であり,術後脳梗塞発症率は0.25~0.5%と,抗凝固療法や経皮的左心耳閉鎖デバイスを用いた結果よりも良好である.また,左心耳閉鎖のみでなく,胸腔鏡によるアブレーション手術も同時に施行されるため,患者の負担も少ない.今後,WO法は心房細動治療に対する新たな選択肢となっていくと考えられる.

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