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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管の形成と制御因子
Tie2受容体活性化による血管安定化の誘導と血管病治療戦略
Maturation of blood vessels by Tie2 activation for the strategy in vascular diseases
髙倉 伸幸
1
Nobuyuki TAKAKURA
1
1大阪大学微生物病研究所情報伝達分野
キーワード:
血管内皮細胞
,
Tie2
,
アンジオポエチン
,
血管成熟化
Keyword:
血管内皮細胞
,
Tie2
,
アンジオポエチン
,
血管成熟化
pp.949-954
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289130949
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血管は,内腔を一面に覆う1層の血管内皮細胞に対してその周囲から血管壁細胞が裏打ちすることで管腔構造を安定化させている.動脈や細動脈,静脈といった径の太い血管では血管内皮細胞を裏打ちするのは血管平滑筋細胞であるのに対して,細静脈や毛細血管ではペリサイト(周皮細胞)が血管内皮細胞を裏打ちしている.臓器によってペリサイトの裏打ち程度は大きく異なっており,それは組織への白血球の浸潤(細静脈)や酸素,養分,血液内液体成分が漏出した組織における需要の程度に左右される.血管構造を安定化するうえで重要なサイトカイン・受容体ペアはアンジオポエチン/Tie2であり,血管内皮細胞同士の接着や壁細胞と血管内皮細胞の細胞接着を制御して,血管の恒常性維持および血管新生に重要な役割を果たす.Tie2受容体発見から4半世紀を経て,最近,この受容体の活性化を制御する治療薬が開発されてきている.
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