Japanese
English
TOPICS 薬理学・毒性学
背側縫線核セロトニン神経による海馬歯状回快経験アンサンブルの選択的再活性化
Preferential reactivation of positive experience-associated neuronal ensembles in the dorsal dentate gyrus by serotonergic neurons in the dorsal raphe nucleus
永安 一樹
1
Kazuki NAGAYASU
1
1京都大学大学院薬学研究科生体機能解析学分野
pp.301-302
発行日 2024年1月27日
Published Date 2024/1/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28804301
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背側縫線核セロトニン神経活性化による抗うつ効果
うつ病は全世界で大きな社会問題となっている精神疾患であるが,その薬物療法の中心である抗うつ薬の作用メカニズムには未解明の点が多く残されている.抗うつ薬は,神経伝達物質であるセロトニンの作用を強めることで薬効を発揮していると考えられている1).筆者らはこれまでに,最大のセロトニン神経核である背側縫線核(dorsal raphe nucleus:DRN)に局在するセロトニン神経の光遺伝学的活性化により,尾懸垂試験や強制水泳試験における無動時間が短縮する,すなわち抗うつ薬様作用が誘導されることを報告してきた2).一方でこの作用は光によるセロトニン神経活性化を止めると速やかに消失したことから,うつ病の寛解には至っていないことが示唆される.そこで人工的活性化を止めた後にも持続するような抗うつ薬様作用が得られるかを調べるため,セロトニン神経を繰り返し光遺伝学的に活性化する検討を行った.うつ病モデルとして繁用される慢性社会的敗北ストレスを負荷した後,5分間のセロトニン神経光刺激を1日2回5日間にわたり行った結果,尾懸垂試験における無動時間の短縮および社会的相互作用試験における社交性の亢進が光刺激の非存在下でも持続することを見出した.
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