『在宅ケアの悩みごと解決マップ――ケースで現場の問題「見える化」します』（堂囿俊彦・角田ますみ・北西史直・中村美智太郎 編著）

ケースを通して理念を行動に移すことの大切さ

　本書は在宅ケアに携わる専門職が度々遭遇する悩ましいケースを16事例取り上げており，そのケースを起点に在宅ケアで普遍的に活かすことのできる様々な概念を学んでいくという構成になっている．ケースは一見複雑でどこから取り組めばよいのか，頭を抱えるようなものが多いのだが，まず「問題を見える化」することでケースに潜む課題を浮き彫りにし，その課題を解決するために「問題を考えるためのヒント」が道しるべとして提示されていく．具体的には，アドバンス・ケア・プランニング，ケアの社会化，セルフネグレクト，リーダーシップ，エフェクチュエーション，パーソン・センタード・ケア，意思決定支援，スピリチュアルケアなど，多様かつ重要なテーマが古典的なものから最新のトピックまで幅広く網羅されていると言ってよいだろう．