FORUM 中毒にご用心――身近にある危険植物・動物・Vol.4
ハシリドコロ
-――知っていれば診断できるかもしれない,知らなければ絶対診断できない
小橋 大輔
1
1前橋赤十字病院高度救命救急センター集中治療科・救急科,原町赤十字病院救急科
pp.963-966
発行日 2022年2月26日
Published Date 2022/2/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28009963
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初春の天ぷら,おひたしに注意
ハシリドコロ(走野老,Scopolia japonica)は本州から四国・九州にかけて,山野の陰湿地に自生するナス科の多年草である.初春に新芽を出し,4~5月に釣鐘状の花を咲かせ,夏には地上部が休眠するため枯れる.夏から冬までは見ることができない典型的な春植物である.
このハシリドコロ,同じく初春の代表的な山菜であるフキノトウと間違えて採取,喫食し,中毒症状をきたして搬送されることがある.厚生労働省によると,ハシリドコロによる食中毒の発生状況は2011~2020年までの10年間で3件,患者数は8人1)だが,幸いなことに死亡者の報告はない.ただし,これはあくまでハシリドコロによる食中毒が “診断された(できた)” 件数であり,実際の患者数はもっと多いと考えられる.
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