Japanese
English
特集 基礎と臨床の両面から挑む血栓止血学
COVID-19に伴う血栓症
COVID-19 associated thrombosis
森下 英理子
1
Eriko MORISHITA
1
1金沢大学医薬保健研究域保健学系病態検査学
キーワード:
新型コロナウイルス感染(COVID-19)
,
血管内皮細胞傷害
,
微小血栓
,
D-ダイマー
,
サイトカインストーム
Keyword:
新型コロナウイルス感染(COVID-19)
,
血管内皮細胞傷害
,
微小血栓
,
D-ダイマー
,
サイトカインストーム
pp.1090-1095
発行日 2021年12月11日
Published Date 2021/12/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu279111090
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重症の新型コロナウイルス感染(COVID-19)患者は,静脈にも動脈にも,そして細小血管から大血管に至る血栓症を特徴とする血管合併症を発症する.COVID-19における血栓症の基盤となる病態は “サイトカインストーム” と “血管炎” であり,血管内皮細胞傷害の関与は大きい.血栓症発症の推定メカニズムとしては,気管支や肺胞上皮細胞に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が感染した際の炎症反応の増大による局所的な内皮傷害と,感染に対する過剰な免疫反応による全身的な内皮傷害が生じることによって,内皮細胞は抗血栓作用を失い,逆に凝固や血小板凝集を促進する因子を放出して血栓傾向へと進んでいくことが想定されている.血栓症の合併は予後を悪化させるため,多くのガイドラインでは中等症以上の入院症例ではヘパリン類の予防投与が推奨されている.血栓症予防は抗凝固療法だけでは限界があることがわかってきており,今後さらに血栓形成機序が解明されることを期待したい.
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