連載 ユニークな実験動物を用いた医学研究・Vol.3
ハムスター:マウス/ラットの未踏の地へ
廣瀬 美智子
1
,
小倉 淳郎
1
Michiko HIROSE
1
,
Atsuo OGURA
1
1理化学研究所バイオリソース研究センター遺伝工学基盤技術室
キーワード:
ゴールデンハムスター
,
ノックアウト
,
GONAD法
Keyword:
ゴールデンハムスター
,
ノックアウト
,
GONAD法
pp.1149-1154
発行日 2021年9月25日
Published Date 2021/9/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu278131149
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
ゴールデン(シリアン)ハムスター(Mesocricetus auratus)は,キヌゲネズミ科(Cricetidae)に属する小型の齧歯類である.安定した発情周期(4日),哺乳類で最も短い妊娠期間(16日)など,他の齧歯類にはないユニークな特徴を持っている.ハムスターは,哺乳類ではじめて体外受精(IVF)に成功した動物でもあり,また精子顕微注入に対する胚の強さも相まって,哺乳類の受精の基本的なメカニズムの理解に大きな役割を果たしてきた.しかし,ハムスター胚は強力なin vitro胚発生停止を起こすため,遺伝子改変動物の作成が難しく,生物医学分野でのハムスターの利用は少なかった.最近開発された卵管内トランスフェクション法(GONAD法)により,容易に遺伝子KOハムスターを作製することができるようになった.今後,ヒトを含む哺乳類における遺伝子機能のさらなる理解のため,マウスで無表現型だった遺伝子を再検討する手段となる可能性を秘めている.これを機にハムスターを利用する研究者が増えることを期待している.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.