Japanese
English
特集 冬眠研究の最前線――人工冬眠への挑戦
トーパーの神経メカニズム
Neuronal mechanism of torpor
山口 裕嗣
1
Hiroshi YAMAGUCHI
1
1名古屋大学環境医学研究所神経系分野Ⅱ
キーワード:
体温
,
代謝
,
冬眠
,
トーパー
,
視床下部
Keyword:
体温
,
代謝
,
冬眠
,
トーパー
,
視床下部
pp.231-234
発行日 2021年4月17日
Published Date 2021/4/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27703231
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
哺乳類を含む内温動物は食糧をエネルギー源として熱を産生し,一定の体温を維持することで広範囲の環境温度に適応できるが,その代償として多くの食糧摂取を必要とする.そのため,一部の動物は食糧確保が困難な環境において,トーパーとよばれる低体温・低代謝状態に入ることで,消費エネルギーを節約して生き延びる.トーパーはその期間の長さから2種類に分類され,冬季に数日間から数週間にわたってトーパーに入ることを “冬眠”,24時間以内に終了するトーパーを “デイリートーパー(日内休眠)” とよぶ.これまでに鳥類,齧歯類,霊長類を含む200以上の動物種がトーパーに入ることが知られている.中枢神経系,とくに脳の視床下部が体内の栄養状態,環境温度,概日リズムなどの情報を統合し,トーパーの開始・維持・終了を制御すると考えられていたが,その詳細な神経メカニズムは長らく不明であった.本稿では,2020年に相次いで報告されたトーパーの神経メカニズムに関する知見を紹介する.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.