案件から学ぶ医療事故の対策と問題点
帯状疱疹後神経痛に対する鎮痛薬長期投与による肝障害
向井 秀樹
1
1東邦大学医療センター大橋病院皮膚科
pp.744-745
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000003892
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・70歳代男性.数日前より右前胸部から背部にかけて痛みがあり,前夜入浴時に同部位に皮疹が出現.いつも通っている内科を受診し,帯状疱疹と診断される.バルトレックス®6T,カロナール®1,200mg/日とアズノール®軟膏を処方される.
・2日後に再診,皮膚症状は悪化し水疱や紅斑が広範囲にみられた.皮膚科クリニックを紹介され同日受診.痛みが強く,カロナール®を2,000mg/日に増量する.1週間後,相変わらず痛みは持続している.カロナール®は継続し,タリージェ®10mg/日を開始.
・2週後に再診.患部のびらんは上皮化するが,疼痛が持続したためにタリージェ®を20mg/日に増量.
・6週後,疼痛は改善傾向であったが,皮疹部位に重苦しさを感じ,内服は継続する.
・8週後,全身の倦怠感が強く,動くのもやっとの状態になる.顔面が黄色調を呈しており,内科受診を勧奨する.血液検査でAST 1,663U/L,ALT 2,230U/Lと高度の肝機能障害が判明し,市中病院に入院となる.
(「経過」より)
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