- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今回のテーマは「紅斑について」です.紅斑をどのように捉えるべきか,非常に興味のあるところです.学会などでうかがっていると紅斑についての皆さんの捉え方にニュアンスの違いがありそうなので,それも非常に面白いことだなと考えています.まず初めに紅斑をどういうふうに定義するかというあたりから話を進めていただいて,あとは自由にご討論いただいたらと思います.たまたま今回,私は皮膚科の祖といわれているイギリスのWillanの教科書を翻訳させていただく機会がありました.彼の紅斑の定義は,「皮膚の限局した部位の持続的発赤で, 全身症状を伴うが,伝染性はない」, つまり感染症は含まないということになっています.19世紀の終わりころの話ですから,今とは全然違っていると思いますが,それ以後,いろいろなところで紅斑の定義がされてきたのだろうと思います.まず紅斑はどういうふうに定義していくのが一番いいのかというあたりからお話をいただきたいと思います.古い文献をみますと,Willanより前にCullenという人が分類していますが,当時のイギリスでは目にみえたものを中心に分類して,Willanが新しく定義したようです.彼の定義が各地に拡がっていき, フランスやドイツも同じようなかたちになっています.ただ,ドイツの場合はSchönlein先生がベルリンでチーフをやられておられたのですが,彼は病理学をものすごく重要視された.たぶんドイツの伝統は皮膚病理学にもとづく臨床所見というかたちがずっと続いているのではないかと私は勝手に考えました.そうした流れの中で定義が変わってくるのかなと思っています.そのあたりは西山先生,歴史的なことも含めて,どんなかたちになっているのでしょうか(「はじめに」より)
Copyright© 2017 KYOWA KIKAKU Ltd. all rights reserved.