特集 女児生殖器・会陰部関連疾患のすべて
泌尿生殖洞遺残症
吉野 薫
1,2
Kaoru Yoshino
1,2
1一宮医療療育センター
2あいち小児保健医療総合センター泌尿器科(2025年3月まで)
pp.745-748
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001259
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はじめに
腸管原基の最尾側に位置する総排泄腔は,胎生4~8週に尿直腸中隔により原始尿生殖洞と肛門直腸管に分割される。女児ではさらに泌尿生殖洞から腟の下2/3が発生し,泌尿生殖洞後壁の嵌入によって生じる処女膜が胎生末期に退縮して尿道口と腟口が陰裂内に別個に開口する。泌尿生殖洞遺残は尿道と腟が完全に分離しない状態が残ったものである。症例の多くは先天性副腎皮質過形成(congenital adrenal hyperplasia:CAH)に生じるが,その他の性分化疾患(differences of sex development:DSD)・直腸肛門奇形に伴う症例や,泌尿生殖洞遺残が単独で生じる症例もある。

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