特集 小児の頭痛
各論 小児の片頭痛 片頭痛の薬物療法
新しい片頭痛治療薬―CGRP 関連抗体薬とラスミジタン
柴田 護
1
SHIBATA Mamoru
1
1東京歯科大学市川総合病院神経内科
pp.167-170
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002244
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はじめに
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は,カルシトニン遺伝子からalternative splicingによって産生される37個のアミノ酸からなる新規ペプチドとして1982年にNature誌で報告された1)。CGRPは後根神経節や三叉神経節に存在する感覚ニューロンに豊富に存在するが,中枢神経系にも広く分布する。片頭痛発作中の頸静脈でCGRPの濃度が上昇していることや,CGRPを静脈投与すると片頭痛患者では遅発性に片頭痛発作が誘発されることが明らかになり,片頭痛発生に関与する分子として注目を集めた。CGRPを標的にした片頭痛治療薬の開発が進められて誕生したのがCGRPあるいはCGRP受容体に対するモノクローナル抗体である。それらのCGRP関連抗体薬は優れた有効性と高い安全性で片頭痛予防治療にパラダイムシフトをもたらした。一方,片頭痛急性期治療薬の主役であるトリプタンにはセロトニン5-HT1B受容体を介した血管収縮作用があるため,血管障害が合併する症例には用いられないという不都合さがあった。これを回避すべく開発された治療薬が5-HT1F受容体作動薬(ditan:ジタン)であるラスミジタンである。

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