Japanese
English
特集 小児臨床検査2024
XIII.感染症検査
2.各感染症の検査 9)先天性感染症を疑ったときに必要な検査
Examinations which are needed when a congenital infection is suspected
森岡 一朗
1
Ichiro Morioka
1
1日本大学医学部小児科学系小児科学分野
キーワード:
TORCH症候群
,
遺伝子増幅検査
,
特異的抗体検査
,
母子感染
Keyword:
TORCH症候群
,
遺伝子増幅検査
,
特異的抗体検査
,
母子感染
pp.581-585
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002012
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
先天性感染症は,母親に感染している微生物が妊娠中に胎盤を通して胎児に感染を起こすものである。原因微生物として,トキソプラズマ(T),その他〔O,othersとしてレトロウイルス(ヒトT細胞白血病ウイルス,HIV),B型・C型肝炎ウイルス,パルボウイルスB19,水痘・帯状疱疹ウイルス,梅毒〕,風疹(R),サイトメガロウイルス(C),単純ヘルペスウイルス(H)であり,古くからTORCH症候群として知られる。臨床症状や重症度は多彩で,原因微生物の種類によって異なる。診断は,臨床症状,生体試料(血液・尿・髄液・咽頭ぬぐい液等)を用いた遺伝子増幅(polymerase chain reaction:PCR)検査やウイルス分離,血中の特異的抗体検査により総合的に行う。先天性感染症は,サイトメガロウイルス,単純ヘルペスウイルスやトキソプラズマなどの一部を除き,特異的な治療法はない。そのため,妊婦が感染予防について正しい知識を身につけ,必要な予防法を実践することが重要となる1)。本稿では,先天性感染症を疑った時の検査について,代表的な先天性感染症をひき起こす微生物別に述べる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.