特集 小児の渡航医学
各論
渡航関連感染症
渡航関連感染症総論
中野 貴司
1
NAKANO Takashi
1
1川崎医科大学小児科学
pp.949-954
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001718
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はじめに
小児や家族にとって,海外渡航はどのような意義があるのか。家族は一緒に出かけることで楽しみや充実感を感じる。小児にとっては,初めての風景や異文化による刺激を受け,世界観の拡大につながる機会となる。ただし基本的に,小児の「健康」と「安全」をまず優先することが大切である。親が赤道直下のアフリカの村に行きたいと思っても,マラリアをはじめ感染症の脅威は容赦なく小児に襲いかかる。一口に海外渡航と言っても,観光や休暇を過ごす旅もあれば,海外赴任する家族に帯同する小児もいる。グローバル化が進んだ昨今では,異国へ里帰りする小児も増えた。私たち医療者は,海外で流行する感染症について知り,渡航に際して起こり得る健康リスクを評価し,わかりやすくアドバイスすることにより,小児が健康で安全な渡航をできるようサポートすることが望ましい。
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